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エンポリオ・ピポラッティ少年はつぶやいた。


「それでは、時がすべてを飲み込んでしまったのでしょうか?」








最新の観測技術によると、この宇宙には数にして7兆もの銀河が存在し、
またそれらとは別に、超大規模な銀河が最低でもあと1000万は存在するらしい。

しかも観測できる範囲だけでも、この宇宙には何と
30,000,000,000,000,000,000,000 個もの星々が存在していることが
分かっている。







そんな無限にも等しい宇宙の広がりの中で、きっと何者にもなれない僕らが
この星に生まれ、たまさかすれ違い、瞬きを交わし、
そして再び離ればなれになっていくことに、いったい何の意味があったというのだろうか。
そのわけを知る者はいない。










この物語の始まりは、今から7年前の2005年に遡るのだが、それよりさらに
遡ること3年前の2002年に、僕はその後の自分の人生を大きく変えてしまった
のかもしれない、ある出来事に遭遇した。


2002年、その年僕は社会人一年目の春を、北の地 札幌で迎えた。
もともと入社は東京だったのだが、入社して わずか一週間で転勤を命じられ(爆)
しかも赴任先は 当時社内で抱えていた最も巨大なプロジェクトの現場事務所という、
まさに怒号が飛び交う前線基地のような場所だった。

学生の頃に ぼんやりと夢見ていた、社会人としての めくるめく夜の活動
(合コンやキャバクラやエロい接待)は夜食のカップラーメンのつゆと消え去り
連日残業による残業と休日出勤だらけの3Kの見本市のような社会人生活が
始まった年であった。それは10年たった今も大して変わらないのだが…。

具体的にその職場が(というか業界が)どれだけ荒んだものであったかというと、
当時事務所には10人の精鋭スタッフがいたのだが、そのうちの7人が離婚経験者であり、
1人が独身者(齢56にして)、1人が離婚調停中、そして最後の1人(所長)が既婚者
だったのだが2年後に離婚。その後彼は早期退職し、消耗しきった心と体を引きずって故郷の
静岡の山奥に隠遁し、今は母親の介護をしながら二人暮らしをしているそうだ。

つまり今風な言い方をすると、身も心も人生も破壊する
漆黒のブラック企業である。

ちなみにこの会社は、関西では有名な老舗の企業だ。
そして誤解のないように言っておくと、僕は今でもこの会社に
大きな愛着を抱いている。ホントダヨ。


そんな過酷な職場で仕事をしていた僕らだったのだが、スタッフたちはそれぞれ
自分の仕事で精一杯だったにも関わらず、みんな僕にとても親切に接してくれた。
それは僕がたった一人の新人だったことや、入社して間もなくこんな
修羅場へと送り込まれてしまったという憐(あわれ)みもあったのかもしれない。
まぁ一番の理由は、取引先の会社の社長の息子だったからかもしれない。


当時、事務所には派遣会社から派遣された事務員の女性が一人いて、
僕が赴任する丁度一か月ほど前にやってきたらしい。
エキゾチックな顔立ちの、僕より3つ年上の、なかなかの美人だった。
彼女とはすぐにうち解け、一緒に食事をしたり、飲みに行ったりするような仲に
なったある日「今度部屋に来ない?」と誘われた。

内心キターーー・∀・-----と思ったのは言うまでもない。が、
あとあと周りの話をよく聞くと、彼女は某キリスト教系の宗教団体の信者で、
お仲間が定期的に彼女の部屋に集まって「勉強会」を開いているらしい。
つまり、そういう「お誘い」だったのだ。人生は甘くない。

その後、彼女からの電話を何度か無視していると、程なくして彼女は
仕事を辞めた。彼女の後任としてやってきた派遣の事務員に聞いたら、
彼女はその後東京に戻って結婚したらしい、とのことだった。
あのお誘いは、果たして純粋な善意だったのか、あるいは宗教の勧誘だったのか
今となっては確かめる術もない。


それから季節は過ぎ去り、しずかに冬の気配を感じ始めた11月、事務所の
忙しさはいよいよ頂点に向かって ひた走っていた。
その頃僕は、仕事中に度々事務所をふらふらと抜け出し、近所のヨドバシカメラに
行っては、家電売り場で大型のテレビや洗濯機に囲まれて時間をつぶしていた。


家電に囲まれていると、不思議と心が癒されるのだ。
その科学的な根拠は不明だが、電磁波が麻薬のように脳にキマっている
のだろうか。とにかく、落ち込んだりストレスを感じると、僕は今でも
足しげく家電量販店へ通い、ピカピカに磨かれた家電の中に身を沈める。
最新のテクノロジーは、明るい人類の未来の象徴であり、暗闇の中から
始まった人類の文明の勝利の証でもある。つまり、気持ちがいいってことだ。

そんな日々を送っていたある日、ヨドバシカメラのPCソフト売り場で
僕はそれに出会ったのだ。


「ファイナルファンタジーXI」である。


当時は、まだオンライゲームという娯楽は一部のPCマニアや、コアな
ゲーマーの遊びであり、その他大勢の一般的なゲーマーは、依然として
PS2などの家庭用機で遊んでいた。
そんな時代に、国民的なビッグタイトルであったファイナルファンタジー
シリーズの新作がオンライン対応RPGとしてリリースされたのだ。

結果、幅広いユーザー層をオンラインゲームのマーケットに取り込み
国産タイトル初の大ヒットとなった。同時にブログや攻略サイト、
コミュニティサイトなども含めた、日本における「ネトゲ文化」が爆発的に
広がっていった時期でもある。しかし、僕は全く興味を持てなかった。

僕はゲームは基本的に一人で黙々とやるのが好きで、だから収奪なんていう
気の遠くなるような孤独な作業も、自分で自虐的にネタにしているより実は全然
苦でも何でもなく、むしろ楽しかった。
一方、対戦格闘ゲームなど人と競うゲームは気疲れして全般的に苦手だ。
僕は本当は、自分一人でしかゲームを楽しめないヴィンセントのような寂しい男なのだ。

だからオンラインで見ず知らずの他人と遊ぶ、というのは特に興味を
掻き立てられるものではなく、自分には縁の無い世界だと思っていた。
が、気づいたら何故か買っていた。FFを。


部屋に戻ってすぐにインストールしたら、PCのスペック不足で全然起動しなかったので、
深く考えることもなくDELLのオンラインストアで26万のマシンを新調した

家には殆ど寝に帰る時間しかないのに、である。


魔が刺したとしか言いようのない、この一連の不可解な行動によって、
その後10年近くに渡り、僕は何故かこんなところで、こんな文章を書いている。
これが運命というものなのだろう。きっとどこにも逃げ場などなかったのだ。





第一話 


「だから僕はここにいるのだ。」











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無題
エンブホホ・ヒポポラッティ少年はつぶやいた

「そんなことよりUOしようずwww」

3万借りてた手前きっとどこにも逃げ場などなかったのだ。

第一話 


「だから僕はここにいるのだ。」
ぽらお 2012/06/02(Sat)11:55:29 編集
はよぉーーーーーw
続きを書いてねんw

つか壮大な第一章で力尽きたとか言わないでねw
ありがちだけど・・・w

かぬちゃーファイッツ!
ハイレ(現在ネネ) 2012/07/15(Sun)11:37:13 編集
無題
私もFF11をやりたいーっ!って思って、それが高じてDOLにたどり着きました。
念願だった「うきゃ!」とか叫び声を上げるタルタルをつくる野望は達成できませんでしたけど。


ささ、続きを期待してますよプワワ('A')
あーしゃ 2012/08/03(Fri)08:54:50 編集
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